イタリアのナポリに「ナポリタン」という名のパスタはない

喫茶店の定番メニューのひとつに、おなじみのスパゲッティナポリタンがある。

ところが、日本人が食べているナポリタンは本場のナポリには存在しない。
日本のナポリタンは、アメリカ生まれの料理だからだ。

アメリカにパスタが伝えられたのは、19世紀。
新天地を目指し、カンパニア州やシチリア島の人々がアメリカへと渡り、彼らによって乾燥パスタとトマトソースがもたらされた。

ところが、イタリア人が伝えたパスタ料理は、アメリカ風にアレンジされてしまった。

本来なら、アルデンテに茹であげるべき麺は、茹で置きされてのびのびになり、それにボリュームを出すためにソーセージやハムが加えられ、トマトソースの代わりにケチャップが用いられた。

このアメリカ式のパスタ料理が、日本へと伝えられ、ナポリタンと命名されたのだ。

補足

ナポリタンは戦後まもなく、横浜にある1927（昭和2）年開業の「ホテルニューグランド」で誕生したと言われて、日本発祥と有名になっているが、もともとはアメリカ式のパスタ料理にさらにアレンジを加えたものだった。

豆知識

ナポリは、イタリア南部にある都市で、その周辺地域を含む人口約98万人の基礎自治体。カンパニア州の州都であり、ナポリ県の県都でもある。ローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市で、南イタリア最大の都市である。都市圏人口は約300万人。 ナポリ湾に面した港湾都市・工業都市である。

生パスタと乾燥パスタの違い

パスタには生パスタと乾燥パスタがあるが、「生パスタを乾燥させたのが乾燥パスタ」と思ったら大違い。
両者は、まったくの別物で、そもそもその歴史からしてまったく違っているのだ。

乾燥パスタが生まれたのは11世紀のこと。
場所は、イタリアの南に浮かぶシチリア島で、その頃、同島はアラブ人に支配されていたが、そのアラブ人たちが砂漠を旅するときの保存食として乾燥パスタを生み出したのである。

一方、生パスタが生まれたのは、北イタリアで、いつ生まれたのかは定かではないが、歴史は乾燥パスタよりも古い。

ただし、麺状のパスタが生まれたのはそれよりも後のことで、最初は小麦ペーストをシート状にのばしたものを焼いたり、揚げたりして調理されていた。

現代のパスタというよりも、ピザに近い食べ物だったといえる。

引用図書：

できる大人の話のネタ全書 (デキルオトナノハナシノネタゼンショ)

posted with カエレバ

話題の達人倶楽部 青春出版社 2013-02-23

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